木村伊兵衛「パリ残像」の感想

木村伊兵衛の写真集「パリ残像」を読みました。

1950年代、ライカで撮影したカラー写真です。

 

今のパリは、暴動というか革命というか燃えているらしいですけど、古き良き平和なパリが写っております。

こういう何気ない街角とか、何をしているでもない人々の写真って、私は好きです。

目次

カラー写真はいつから?

カラーだと全然古さを感じないですね。昔と今のパリを知る人だと、ああ懐かしいとか思うのかもしれませんが、私は行ったことがないので、ああ、コレがパリか、ってかんじです。

この時代の写真といえば、アンリ・カルティエ=ブレッソンだとかロバートキャパとか土門拳ですが、モノクロ写真ばっかりで、なんとなく、色というものはない時代だったのだ、という印象がありました。

あたりまえですが、そんなわけはなく、当時からパリも日本も、世の中はカラーでした。

世界初のカラー写真は、1861年にジェームズ・クラーク・マクスウェルという人が撮影したものだそうですが、大変手間ひまかけて現像するような仕組みだったようです。

近代的なカラーフィルムの元祖「コダクローム」が発売されたのが1935年。われらが富士フイルムのカラーフィルムは1940年。同年に発表された小西六写真工業(現・コニカミノルタホールディングス)の「さくら天然色フヰルム」に続いて2番めだったようです。

木村伊兵衛さんはキャプションに「夕方の横丁の感じをフジカラーの持つしぶさで狙ってみた」と書かれていますので、ライカにフジフイルムを入れてパリをうろつかれていたのでありましょう。

カラーとモノクロ

この写真集にある一枚は、何ていう雑誌だったか忘れたんですけど、カー雑誌で見たことがあります。

緑色のクラシックなレーシングカーが街角に停まっていて、その後ろの壁にはカラフルなポスターがベタベタ貼られていて、黒い服のおばあちゃんが立っているという印象的な写真です。

とってもいいかんじです。カラフルですが、渋いです。

コレがモノクロに変換されたら、魅力は半減されるなあ、と思いました。

モノクロはモノクロの良さがありますけど、やはりカラーでなければ、という写真もありますね。

どっちも上手に撮りたいものですが、最近は、デジタルカラー写真ばっかりのワタクシであります。

家のベランダから。X-Pro1 XF35mmf1.4

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