運動会の撮影のコツ 体育館の場合

保育園の運動会の撮影を依頼されまして、業者のカメラマンのように腕章を巻いて撮影に臨んでまいりました。

こちらの保育園のイベントの撮影は2回目です。(経営者が友人なのです。)

前回は晴天のもと、のんびり楽しく牧場への遠足でしたが、今回は運動会です。しかも、体育館です。しかも、お天気は雨(台風前)で、薄暗いです。窓からの光が弱々しいです。

保育園とはいえ、こちらでは組体操もあり、障害物リレーや、よさこい踊り、空手の型などもあって、なかなか本格的なのです。

学童保育の小学生は動きも激しいでしょうし、アマチュアカメラマンにはなかなか厳しい環境といえましょう。がんばりました。

この項は、カメラマニアの人が、知り合いから撮影を頼まれた時に役立つ情報となれば良いなと思い、書き記してみます。

(良い写真も撮れてましたが、子供の写真ですのでブログにアップは控えております。)

目次

体育館での運動会のカメラ撮影には厳しい条件がそろっています

体育館の場合に限らないですけど、運動会撮影の厳しい条件を挙げておきます。

動きが速いので、ブレやすくピンぼけしやすい。

競技中の選手にはあまり近寄れない。フラッシュも炊けない。

体育館は暗い。(オートフォーカス外しやすい)

障害物競走など、ベストショットの場所が複数あるので、移動が忙しい。動きつつ、どんどん撮っていかないといけませんので、三脚など使えようもありません。

 

ベストポジションは、最前線で父兄がビデオ撮影しているので、父兄が邪魔になります。しかし、最前列よりさらに前に出ると、自分が父兄の邪魔になります。

公認カメラマンが優先のような気もしますけど、去年、保育園の代表者である友人が撮影してたら父兄に「邪魔や!」と怒られたそうです。(汗)

運動会撮影に事前に準備していったもの

カメラは2台体制で臨みました。

愛用のフジフイルムX-Pro1と、友人から貸してもらった最新機のX-T20です。レンズは、望遠ズームのXF55-200mmと、標準ズームXF18-55mm(これも借り物)です。

故障時のバックアップのために、いちおうコンパクトカメラのX20も持っていきました。(幸いなことに使いませんでした。)

レンズは、ボケが美しいXF35mmf1.4もいちおう持っていきましたが、出番はなかったです。単焦点レンズは、自分自身が自由自在に動けてこそ本領発揮しますけど、運動会だと位置や距離が制限されるので、間に合いませんね。

予備電池は2台分で4本持っていきました。2回づつ交換できる計算です。(実際は1回づつで事足りました。)

子供に触られたりして、レンズが汚れたときのためにクリーニング道具も。(使いませんでした。)

スタッフだと認識されるように、「撮影 PHOTO」と書かれた腕章。

 

大きめのカメラバッグに、道具一式いれていきましたが、動き回る時は、貴重品と予備電池だけ入れたウェストバッグを腰に巻いておりました。カメラは首と肩からぶら下げて。

子供や座っている父兄にカメラがぶつからないよう、ストラップはあまり長くしないほうがいいと思います。

父兄の背後から撮影することも考えて、小さい脚立を持っていきました。家にあった庭仕事用の安物です。アルミ製で軽かったのでちょうどいいかなと。

脚立を持って、せわしく場所移動をすることを考え、サッとつかんだ時に指を切らないように、角や天板の縁にビニールテープを巻いておきましたが、実際には脚立を持ち歩けるようなシチュエーションはなかったです。正面前の父兄席の最後尾の壁際に設置しておきました。

脚立は、2つ3つくらい用意しておいて、あちこちの壁際にセットしておけばよかったなあと思いました。脚立じゃなくても、高めの踏み台でもいいですね。(「撮影用」と書かないでおくと、父兄に座られそうですけど。)

 

それと、体育館シューズ。体育館を何周もグルグル動き回るので、シューズが楽です。

自分の子供の出番だけ撮影する父兄と違って、こちらは休憩を取る間はないので、ペットボトルや水筒をバッグに入れておいたほうがいいと思います。(この日は、暑くなかったので特に必要なかったですけど。)

運動会撮影のカメラの設定

運動会では激しく目まぐるしく移り変わる被写体を追いかけることになりますので、それなりの設定をした方がいいです。

途中であれこれ設定を変える余裕はないので、はじめにビシっと決めておくのが肝心。

(いつの間にか設定が狂ってたりするので、ちょいちょい確認しましょう。)

露出 シャッタースピードとISO感度

露出は、マニュアルで操作するのがいいと思います。運動会モードがあるならばオートでもいいと思いますが、なんとかモードって、どういう設定かよくわからないので、私は自分でコントロールできるマニュアル露出が好きです。

露出は、絞り値・シャッタースピード・ISO感度で決まりますね。

子供の活躍を撮るのですから、実際の現場より、明るめに撮るのがいいように思います。

 

シャッタースピードは、動き物を撮るのですから速いのがいいです。基本的にはぶれないけど、スピード感が伝わる程度に、ちょっとブレるというくらいがいいんじゃないかと思います。

リレーのゴールテープを切るときとか、跳び箱をポーンと飛び越える時に、流し撮りでバックの父兄がちょっとぶれているというくらいが、雰囲気が出るんじゃないでしょうか。

1/125秒から1/250秒くらいがいいんじゃないかと思います。(体育の先生が走る時は、これではまだ遅いかも。)

 

ISO感度は固定しました。6400です。画質が悪くならない上限がこんなものでしょう。ピンぼけを減らすために、なるべく絞って被写界深度を稼ぎたいと思いまして、そのためにはなるべく高感度にしたいです。フラッシュ・ストロボは使えませんし。

競技中にフラッシュを使っても、ちびっこ選手は何も言わないでしょうけど、ビデオ撮影している父兄の邪魔になります。

邪魔といえばシャッター音ですが、運動会ではそれほど気にならないと思います。父兄の耳元の真横でバシャバシャやったら、さすがにウルサイと言われるかもしれませんが。

オートフォーカスかマニュアルフォーカスか

オートフォーカスは、最新のX-T20は素早く動いてくれますが、フォーカスポイントを自動で選ぶ設定(オートエリア)は、見当ハズレなところに合います。

中央で合わせられるように設定しておかないと使いづらいです。これ、借りたX-T20の設定を変えるのを忘れていてオートエリアになってました。

私は自分のカメラは常に中央にしていたので、この違いに気づかず、父兄とかスタッフにピンが来て、選手がピンぼけになってしまったシーンが多数ありました。反省。

使い慣れている旧型X-Pro1は、どうせオートフォーカスが遅くて使い物にならないとわかってましたので、マニュアルフォーカスにして、親指AFで一度合焦させた後、シャッター連押し作戦です。(距離が変わる場合は、ピントリングで微調整しながら。コンティニュアスオートフォーカスの存在は、完全に忘れてます。)

オートフォーカスだと、次のシャッターを押すのに時間がかかるんで、マニュアルフォーカスのほうが断然速いです。

(連写という手もありますが…)

オートフォーカスの速い最新X-T20でも、マニュアルフォーカスのほうが連写のタイムラグは短いように感じました。(測ってはないです。体感的に。)

 

こういう、じっくり考えている間のないシーンでの撮影は、やっぱり使い慣れているカメラのほうが、性能は低くとも断然使いやすいなと思ったのでありました。使い慣れてないと、一瞬の操作で戸惑ってしまいます。風景写真とか不動産写真と違い、迷っている時間はないのです。

カメラ2台持ちの際の注意点

カメラが違うと、使い勝手が違ってしまうので、同時に使う時は混乱注意です。せめて設定を合わせておけるところは、合わせておきましょう。

ISO感度、シャッタースピードは、どちらも同じに。露出合わせは、絞りでその都度調整するようにしておりました。

望遠ズームを伸ばしたり縮めたりすると、絞り値は変わりますので注意。

ホワイトバランスも、合わせておかないと後で違和感が出るかもしれません。(RAWで撮ればその点は気にしないでいいですが、大量写真をあとで現像していくのは大変なので、私はJPEGのみ。)

出だしでフィルムシミュレーションを合わせ忘れてましたが、まあ、レンズが違えば色味も変わるし、ここはそれほど違和感もなかったかな。(クラシッククロムとプロネガハイでした。かたっぽモノクロだとかは、もちろん変です。)

 

操作の違いでいうと、X-T20にはX-pro1にないファインダーの視度調整ダイヤルがありました。これがいつの間にか回っていたようで、ファインダーがボケボケでした。

これ、最初、気づきませんでした。見にくいのは暗いから?? X-T20のファインダー、使えんなあ~とか思いながら、背面モニターを見て撮影してました。途中で気づいて、調整したらよく見えるようになりました。どうもすみません。

しかし、全体を広く撮るのはモニターでもいいですけど、望遠レンズはやはり、しゃがんで片膝をついてファインダーを覗きながらでないと、やりにくいです。

 

それと、忘れがちですが、2台のカメラの時計を合わせておくことは大事ですね。

望遠と標準をとっかえひっかえ使うことになると予想したので、あとで時系列に並べる時にグチャグチャにならないように、秒までピッタリ合わせておきました。ここは我ながら賢こかったです。

運動会の撮影テクニック(というか心構え)

今回、朝8時半から昼1時頃までに1800ショットほど撮った中で、気づいたことと、反省点を書いておきます。

機材に馴染んでおく

まず、使用カメラには、よーく馴染んでおかねばならぬと反省多し。おなじフジフイルムのカメラではあっても、機種が違うと操作もやや違ってます。

事前にテスト撮影をしてはおりましたが、いざ、怒涛のように撮影が始まると、うっ、どうやったけな? と戸惑ってしまいました。

迷いは失敗につながります。パッと切り替えられなくて、標準で写すべきシーンを望遠でとったり、その逆だったりで間に合わせてしまいました。(途中でレンズを入れ替えてみたり。)

できましたら、2台使う場合は、同じカメラを使うのがいいと思います。

競技に臨む選手って、練習に練習を繰り返し、本番では頭で考えることなく体が動くものですよね。カメラマンもそうあるべきだと思ったのでありました。

進行予定を把握しておく

進行表やプログラムは事前に確認していたほうが良いと思います。そのほうが、どのポジションにいるべきか考える余裕ができます。

体育館がそれほど大きくなかったのと、リハーサルから見ていたのと、保育園の先生が、ときどき「次は何」と教えてくれたので良かったですが、大きな大会だと困ることになると思います。

 

ポジション取りは、選手や観客の邪魔にならないことを意識していたので、ぜんぜんクレームはなかったです。あらかじめ脚立をセットしておいたのもナイスでした。

しかし、公認カメラマンという有利を活かした、選手に迫るようなカットは撮れなかったのは、われながら不甲斐なし。

組体操などは、真剣な表情を、下から煽るように撮ればよかったなあと思ってます。ま、次回があっても、父兄の前面に飛び出していく勇気は出ないかもしれませんけど。

望遠でそこそこ撮れたので、良しとしよう。

 

でも、運動会の撮影って、カメラマンひとりじゃ手が足りませんねえ。

障害物リレーとか、こっちを撮っていると、あっちのハイライトシーンが撮れないし、団体演技では、大きく撮れる子と、小さくしか写らない子が出るし。

けっきょく高いところから、全体をまんべんなく撮ってみたり。

たぶん父兄方の撮っている写真のほうが、いいのがたくさんあると思います。

父兄や小物の写真も撮る

あまり撮影数は多くありませんが、観客席の父兄の写真も撮っておきました。これがなかなかいい感じです。

特に、おじいちゃんおばあちゃん。孫の活躍に目を細めておられます。これ、パパ・ママとはまた違った表情ですね。

観客席の、出場選手(園児)の妹か弟であろう赤ちゃんも和みます。

保育園のスタッフの皆様の写真も、もっと撮っておけばよかったかな。

スタッフさんや園児がつくったのであろう、飾り付けなどもたくさん撮っておくと記念になっていいと思います。たぶん使いまわししない、このときだけのものでしょうから。

競技の途中途中の点数表も写しておくと良いですね。

とにかく数で勝負

いつもよりピンぼけ率は高かったです。

撮影条件は厳しかったと思いますが、ここは経験と技術が未熟なところです。修業がまだまだ足りません。ぜんぜんプロの域には至りません。精進いたします。

ただ、同じカットでも、何度も撮ると成功ショットが増えます。もう、のべつくまなしにシャッターを押し続けるのが良いと思います。

望遠レンズの手持ちショットが多かったので、手が痛くなりました。

 

シャッター連発のために、撮影画像確認はオフにしておくのが良いです。このシャッターを押したあとの、1.5秒ほどの表示の僅かな時間が結構なタイムロスになります。

ちゃんと写っているか毎度確認しないと不安ですけど、フィルム時代は画像を確認できるのは現像してからでしたものね。

液晶ビューファインダーなら、撮影前に露出はわかってます。ピントと構図は、運を信じてシャッター押しまくりましょう。

SDカードは容量の大きいものを、事前にフォーマットして空っぽにしておくのがいいと思います。

光学ビューファインダーの利点

ミラーレスカメラのフジフイルムXでは、基本的には液晶ビューファインダーで見ることになります。

レンジファインダー風X-Pro1搭載の光学ビューファインダーOVFは、望遠レンズをつけると出番はないような感じですが、意外と使えます。

跳び箱を飛び越えるシーンなどは、パララックスを考慮して、あらかじめ液晶ビューファインダーで構図を決めておいて、その位置で、光学ビューファインダーに切り替えます。

三脚はないので、片膝になってガッチリ構え、小さくなったブライトフレームの位置を目安にします。

光学ビューファインダーだと、単なるガラス越しの光景ですから、液晶画像と違って表示のタイムラグがないです。

また、一眼レフのファインダーと違い、ファインダーを覗きながらでも、ブライトフレームの枠の外から、走ってくる選手(園児)の姿が見えていますので、まさに跳び箱を飛び超える(または失敗して乗っかる)瞬間を狙えます。

 

オートフォーカスのタイムラグがないよう、置きピンで待ち構えるのがよいです。マニュアルフォーカスにかかわらず、シャッターは半押し状態です。タイミングを合わせやすくするためです。

そうやってカメラを構えていますと、窓際にターゲットが現れるのを待つゴルゴ13の気分になれます。

運動会でのストロボについて

競技中はストロボ・フラッシュの使用はよろしくないですが、集合写真くらいは使っても良かったかなと思いました。X-T20には内蔵フラッシュもありましたし。

いつも使わないので、すっかり忘れておりました。

まあ、高感度のおかげで、きれいに撮れていたし、ストロボの使い方ってよくわからないので、良しとしておきます。

カメラマンはカメラマンのお役に徹しましょう

前回の遠足で顔なじみになった子にも会いましたけど、話をする余裕はなかったです。

ただひたすら黙々と写真を撮っておりました。

もうちょっと子どもたちと交流が持てればよかったかな?という気もしますが、親しくなりすぎて撮影を邪魔されたら本末転倒なんで、やはりカメラマンは撮影に徹するべきかと思います。

知っている子と知らない子で、えこひいきがあると思われてもいけませんしね。目立っている子とそうでない子では、写っている枚数に差が出るのは仕方のないことだと思いますが。

また、途中の舞台装置の設営とか片付けとか、たいへんやなーと思いますけど、カメラマンの仕事じゃないので、これも勝手に手出しはしないほうがいいでしょう。

 

それと、あとから気づいたのですが、競技場内にはどんどん入って撮影しておりましたので、父兄が撮影したビデオには、たぶん私が写っていますよねえ。

お茶の間で、あの坊主頭は何者? とか言われてたら嫌だなあ。

帽子をかぶって目立たなくしておけばよかった。

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