荒木経惟「写真への旅」の感想

アラーキー荒木経惟の本って、エッチだし、それも美しいヌードグラビアじゃなくて、けっこうドギツイのが多くて家庭では読みづらいですが、読んでます。

1976年に書かれた古い内容を再編集した「写真への旅」が、なかなか面白かったです。

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アマチュア写真家に写真術を伝授するために各地を旅していったという話なんですけど、アマチュアに対してかなり辛口というか、ボロクソに書いているんですね。

ダジャレと下ネタでコーティングされているので、ちょっとわかりづらいんですけど、なるほど! と唸るようなことをたくさん書かれています。

私が、たいへん共感した内容は、「身内から撮ることから始めなくてはいけない」というところ。

美しい景色を撮りにいくんじゃなくて、私現実を撮りなさいということなんですが、私はだいたい家族写真が多いので、嬉しい意見でした。

写真の修業方法

荒木経惟先生の写真の修業方法がなかなか、面白くて難しそうでした。

撮りたい人物に許可を得て撮りなさいといったかと思えば、「交差点の最前列の真ん中に立って5m先の信号待ちの人たちを真正面から撮る。信号が青になったらこっちに向かってくる被写体に、こっちも向かって行き、シャッターを押す。」なんていうハードな修業も。

頭と体の硬化を防ぐために、股の間から逆さまに撮影する修業を毎朝1年間続けるというのも、なかなか修業という感じがします。

「バーチバチ撮って、バンバン他人様に見てもらうことです。」

でも、「見せることばかり考えないで、まず見ること。」

「七五三の写真は、郷里のおじいちゃんおばあちゃんに送るだけでなく、電話帳で住所を調べて赤の他人様にまで送ってみよう。きっと手紙がくる。それが批評というもんよ。」

かなり勇気が必要ですね。

「他人が撮った写真より、自分の撮った写真のほうがいろいろと教えてくれます。撮って撮って撮りまくるのです。諸君には表現力なんてないのです、表現力があるのは世間様なのです。」

そういわれると、あまり余計なことを考え込まずに、とりあえず撮りまくろう!という気分になります。ますます精進しようと思います。

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